これからカット専門店を開業を検討している方
開業に向けて、取り掛かる方
初めての開業で、どのようにしたらいいのか?
オープンまでの流れが分からない方は多いのではないでしょうか。
この記事では店を開業するまでの流れと必要な準備を記事にしています。
開業に至るまでの準備をスムーズに進めたい、失敗したくないと思っている方にオススメです。
自己紹介させてください。
私は美容師を 18 年以上しています。
総合美容サロンで8年の経験をして、カット専門店に転職
カット専門店では10年の経験を積みました。
2023年にカット専門店とアイラッシュの併設店を千葉県にオープン致しました。
開業するまでは大手のカット専門店で働いていましたが、昔からの開業の夢を叶える為に独立を決意。
その経験からカット専門店の開業に必要なことをまとめました。
- 開業の流れ
- 開業にかかるまでの期間
- 開業に必要な手続き
- 開業に必要な資金
これからカット専門店の開業を考えている方には貴重な情報になると思います。
是非最後まで。読んでくれたら嬉しいです。
抑えておきたい開業に向けた全体的な流れ
開業するには手続きや契約、申し込みなどがとても多いです。
開業に向けて、簡単に全体像を把握しておくとよいでしょう。
全体像を知っておくと、開業の準備やスケジュールを立てのにとても役にたちます。
スケジュールを決められないで困るのは、オープンの日がハッキリとしないままオープン日を迎えてしまう可能性があることです。
私が実はそうでした。
私の場合は内装の引き渡し日がハッキリとしないまま、スケジュールが進んだので仕事に使う道具の納品や保健所に検査をしてもらう日が決めづらくなってしまいました。
結果的に日にちを何度か遅らせての開業をすることになりました。
今思うとオープン日から逆算して保健所の検査日、内装のスケジュールを決めておくと良かったと思います。
大事な開業の日に変更が出ない為にも、全体の流れを知っておいてください。
開業の全体図は以下のようになります。
物件を見つける→融資の準備・内装の見積もり・什器備品の見積もりなどが同時に進む形です。
準備が進むと色々な手続きが同時に進んでいくので、すごく大変に感じてしまうかもしれません。
私の場合は、前職での有給休暇を残していたので準備に時間を作る事ができました。
ギリギリまで働きながら、準備をするのは正直なところかなり苦労すると思いました。
開業の準備は計画的に可能な限り余裕をもって準備していく事をオススメします。
各準備についても解説していきますので是非、読み進めていってください。
1、物件探し
物件探しの流れとしては、カット専門店に適切な物件をインターネットや不動産会社を通して探していきます。
気になる地域を実際に回ってテナント募集の物件を探すのも良いです。
理想の条件を見つける為にはあらゆる方法を利用するべきです。
不動産屋さんに聞くと、物件が決まるまでには1年くらいかかる事が多いそうです。
理由としてはいいところが見つかっても、先を越されてしまう。
空いているところが理想の条件に合わない。
などで、時間がかかってしまうそうです。
なので、少しでも気になると感じた物件があれば迷わずに不動産会社に連絡をしましょう。
ちなみに私が今の物件をゲットできたのがインターネットで公表されて1時間立たないうちに連絡して一番最初でした。
少しでも遅いと2番手になってしまっていたそうなので一秒でも早く連絡を意識する必要がありそうです。
不動産会社との連絡がとれたら内見をしにいきます。
質問したいことがあれば、物件選びは大切ですので、遠慮なく何でも聞いてしまいましょう。
内見にいって物件が気に入れば仮で抑える事になります。
ここまで話が進むと
融資と内装をどこでお願いするかを相談していく事になります。
1番に仮で物件を抑える事ができて、融資も順調に進めば難なく開業まで進みます。
2番目や3番目になる場合はいつ話が来てもいいように、融資を受ける機関や内装業者を決めておくとスムーズになります。
不動産会社から融資を受けられる銀行や内装業者を紹介してもらえることもあるかもしれませんが、念のために自分で探しておくと良いでしょう。
融資を受けられる目途が立つと物件の本契約になります。
それまでは、あくまで仮なので契約書にサインできるまでは気持ちとしては落ち着きませんでした。
2、資金調達(融資)
私の場合金融機関の借り入れが必要だったので借り入れが必要なケースでお話します。
貯金で開業できそうな方は必要がないのでここの内容はスキップしても大丈夫です。
資金調達は主に銀行で借りるか。
日本政策金融公庫という国の機関に借りるケースがほとんどです。
どちらも流れは変わりませんので分けずにお話ししていきます。
初めに事業計画書が必要となります。
これがとても重要な書類なので早めに準備を始めていきましょう。
事業計画書は銀行もしくは日本政策金融公庫のどちらにも必要な書類です。
銀行の融資で必要な事業計画書と日本政策公庫で必要な計画書は別のものになるので様式は事前に各機関に確認をとってください。
事業計画書を元に担当者がお金を貸すことができるかを判断していきます。
書類を見て判断するだけでなく、担当者との面談もあります。
売上の目標はどうなっているのか。
目標を達成する為の計画がどうなっているのかを具体的に話し合っていきます。
返済の目途がどのように立つのかがとても重要です。
そして、無事に審査が通れば融資を受けることができるようになります。
融資を受けるまでにかかる期間は早くて 1 ヶ月ぐらいです。
何度か打ち合わせが必要になる為、休みの調整が必要になります。
融資までの期間が長すぎる場合、物件が押さえておけなくなる可能性があります。
融資が決まってから、不動産会社の契約や内装業者の話が進むことになるので優先的に融資は準備を進めていきましょう。
事業計画の中に内装の見積もりや不動産の見積もり、備品購入の見積もりは事業計画書で必要になりますので、先に準備が必要になります。
運転資金の借り入れ
運転資金も必要であれば融資の対象です。
運転資金の目安は家賃・広告費・人件費・水道・光熱費・通信費・材料費の三ヶ月分になります。
三ヶ月以上の運転資金を計画に組み込んでも良いですが。
その理由をハッキリと伝えられるようしましょう。
長い期間運転資金が必要という事は、事業が軌道に乗らない事を想像させてしまいます。
融資を担当してくれる方の不安になりますので、3ヶ月くらいを目安にしておくことがオススメです。
準備しておくお金
必要な資金、預金はどれくらいあればいいのか。
一概にはいくらがいいということは言い切れません。
銀行の預金が必要な資金の 1 割や 2 割をがあればいいという方もいらっしゃいますが、正直その金額で借りるのは難しいと私は感じました。
私の場合初めに。銀行に融資をお願いしたところ。
融資額に対して 3 割ほどの資金を入れてほしいと言われてしまいました。
それでも、結果的に銀行の審査には通る事ができませんでした。
銀行では借入が不可能と判断されてしまいましたので日本政策金融公庫にお願いしました。
【結果借りられた条件】
希望をしていた融資額は800万円でした。
手持ちの貯金は400万
借り入れ希望を400万にしました。
この条件で融資が通りました。
融資が通る為に必要な事は、事業計画の期待値がどれだけ高いか。
返済の見込みがどれだけ高いかで決まります。
事業計画の期待値は事業が成功する可能性が高ければ融資を受けられる可能性がグッと高くなります。
美容室であれば自分の顧客をどれだけ連れてこれるのか。
競合との差別化がされていて来店の見込みがあるかなどを見られます。
返済の見込みとは
過去の返済実績や滞納などがないか
事業が失敗したときでも、返済できる計画ができているかなどです。
他にもビジネスモデルがどれぐらい魅力的か。
借主の人格や信用などの観点から総合して判断されます。
予算においてはあれば、あるだけ有利になります。
少ない予算であれば、それ以外の要素で信用を得なければならないのだと感じました。
ビジネスモデルを見て利益が生まれるビジネスなのかを判断されます。
過去に滞納などの歴がないか。
通帳の履歴を確認して、どのように資金を準備してきたのかも見られます。
一年以上前から地道に資金を準備していれば計画性のある真面目な印象に繋がるので、融資を担当してくださる方は通帳までしっかりと確認します。
通帳の預金歴は一年以上前から準備している証明になるように記録しておきましょう。
急に預けられたお金ではプラスの判断はされません。
また、資金は余裕をもって必要な額の3〜5割ほどの金額を準備すると良いと思います。
3、内装
内装の流れは見積もり、前金の支払い、着工、完成確認、残金の支払いになります。
融資の前に決まっていなくてはいけないのは図面と見積もり額です。
図面は保健所の検査や事業計画などでも使われますので、早めに仮でもいいので用意してもらいましょう。
見積もりは融資に必要になりますので、図面と合わせて早めに準備してもらうようにお願いしてみましょう。
内装で気を付けた方がいいと感じたことは。
見積もりと完成後の金額に大幅な差が出ないようにすることです。
その為に事前の打ち合わせはかなり慎重に認識を合わせた方が良いと思いました。
なるべく安く仕上げてほしいという要望をしたとしても、実際に必要になる金額は自分の中で高く見積もっておく方が無難だと思います。
余裕なく見積もりをしてしまうと内装費は予定を超えてしまった時に、どうにか捻出しなくてはいけなくなります。
融資を受けた後に正確な見積もり額で支払いをしなくてはいけないので、資金が足りなくなる可能性があります。
そうならない為にも、ある程度は余裕の状況にしておきましょう。
コツは店を作る時に理想的な設備環境で依頼をしておくことです。
理想で作ってもらうようにお願いすれば、自然と高い見積もりになります。
そこから、多少の妥協点を作るだけで資金に余裕がつくりますよ。
着工してからはなるべくお店に足を運びましょう。
いくら入念に打ち合わせをしても、やはりズレは起こります。
イメージと違えば、その都度指摘できるようにしておくと後々、後悔する事にならないですので少しでも多く工事の方とやり取りができるようにしておくことを強くお勧めします。
4、購入備品の整理
借入の際に融資の対象になる項目で什器・備品等の購入費があります。
お店を開業する時に必要になる道具を揃えるために必要な資金です。
カット専門店の開業であればバリカンや鋏、ドライヤー等の仕事に必要な物を揃える必要がありますよね。
什器・備品等の購入費は融資の対象にもなる為、資金に余裕がない場合は借り入れを検討すると良いと思います。
事業計画の中で什器・備品等の購入費も見積もりが必要なので、購入を予定しているものを整理しておきましょう。
必要になるで情報として
備品名・メーカーと品番・代金・個数
などをまとめて、合計の必要な金額をまとめておく必要があります。
什器・備品を融資の対象にしなかったとして、作っておくと購入するときに便利なので早めのうちに整理しておきましょう。
5、美容所検査確認証
以上の手続きを行いました。
開設に必要な手続きとして保健所の登録が必ず必要になります。
出店地域の保健所に直接、三回は足を運ぶ必要がありました。
一度目は内装の図面が出来てからです。
図面を確認してもらって、保健所の基準に問題がないかを確認してもらいます。
この時点で問題があったまま工事が進んでしまうと、大きな修正が必要になり、大変な思いをしてしまいます。
工事の大幅な遅れや店舗デザインに影響する可能性があるので、必ず着工前に確認にいきましょう。
二度目は開設届の提出にいきました。
書類の準備や、申請に必要な費用があります。
手数料は17000円(千葉県市川市の保健所)
健康診断書
美容師免許証
管理美容免許証
店舗の平面図・案内図
などを準備してから手続きにいきます。
その際に、検査をする日程を決めます。
注意が必要なのが、営業ができる状態で検査を受けなくてはいけない事です。
内装が終わってからの状態なので、内装業者の方とよく日程の相談をされておくと良いと思います。
私の場合は工事完了の日が曖昧になっていたので、検査に間に合わず検査日の変更が必要になってしまいました。
結果的にオープン日も遅れてしまったということになります。
三度目は検査後に問題が無ければ、美容所検査確認証を受けとりにいくだけになります。
営業は検査当日に問題が無かったので明日からでも営業して良いと言ってもらえました。
6、防火対象物開始届
その他の手続きについても説明します。
消防署へ行って、防火対象物使用開始届を提出しなければいけません。
消防署にいって開業するので必要な手続きを知りたいと伝えれば教えてもらえました。
防火対象物使用開始届に必要な内容を記入していきます。
避難誘導灯や消火器の設備があるか。
煙感知器などの設備が取り付けられているかなどを確認されます。
【提出した物】
防火対象物使用開始届
消防関連の設備写真
図面
壁紙や床に使われている内装仕上げ表
以上の手続きは使用開始の一週間前にする必要があります。
2回消防署に足を運びましたが、1度目は内装の図面が完成したあと。
届け出の相談に
2度目は内装が完成してからで、届け出の提出にいきました。
7、開業届・青色申告承認申請書
最後に税務署に事業開始申告書を提出します。
これは、営業を開始から1か月以内に提出をしましょう。
青色申告を予定している場合は同じタイミングで青色申告承認申請書を提出しておくと税務署に2度書類を送る必要がないので少しだけ手間が省けます。
この手続きは、税務署に行かなくても書式をインターネットで印刷すれば、郵送で対応が可能です。
今までの手続きが大変だったので、かなり楽に感じました。
そもそも、開業届の提出が必要か?
疑問に思う方がいるかもしれません。
開業届は提出をしなくても罰則はないので、出さない方もいるそうです。
ですが、いくつかのメリットが得られなくなります。
青色申告ができない。
事業用の口座を開設することができない。
助成金・補助金を受ける事ができない。
その他、クレジット会社の審査や商品仕入れなどの契約ができない。
個人的には青色申告特別控除を使わないのは勿体ないと思ったので、悩む間もなく開設届の申請をしました。
青色申告特別控除とは、確定申告で要件を満たしていれば最大で65万円を控除できる制度です。
控除額が大きくなると、税金が安くなります。
その為、特にこれから開業をされる方にはとっても有難い制度です。
少しでも手元に残るお金を多くする為にも、是非使った方がいいと思います。
8、集客方法
集客方法についても考えておかなくてはいけません。
集客方法には Web広告、SNS、チラシ配布、看板などの方法でいくつもあります。
お店の内装が進んでいる間にできる準備はしておくのがオススメです。
自分でどこまで準備できるかは人によると思います。
時間と労力がある限りできる事はやる方が、資金を抑えることができます。
ホームページを自分で作ってみる。
チラシのデザインを自分でする。
街頭でチラシ配りを自分でする。
インスタとTwitterを事前に投稿してお店の告知を進めておく。
売上が軌道に乗るまでは資金がどれだけあるかがカギになります。
売上の伸びが緩やかなら、先に資金が尽きてしまう可能性もありますからね。
可能な限り、自分で行って節約をするといいと思います。
私の場合は、ホームページ・チラシのデザインは自分で行いました。
グーグルビジネス、SNSなども無料でできるので始められるものは先進めていきましょう。
ホームページの作り方はインターネットで検索やYouTubeでも調べる事ができます。
チラシのデザインはCanvaのテンプレートを使えば比較的に簡単に作成できます。
インスタやTwitterなどの、SNSは内装の準備段階から投稿するのも良いと思います。
可能であれば、フォロワーを集めて置くと有利にスタートできると思います。
集客は基本的に全てをやるべきです。
理由はどの広告から反応があるかは、実際に行ってみないとわからないからです。
一番関心をもって貰えるのは開業してすぐです。
関心があるタイミングで、しっかりとお客様の来店につなげていきましょう。
今どきチラシ?と思う方もいるかもしれません。
チラシは、出店地域で認知してもらうためにはかなり有効な手段です。
やはり、一番初めに来てくれる方は出店したお店に近い方です。
近隣の方にしっかりとお店の存在をアピールする為にもチラシは必要です。
長い目で見れば、Web集客は欠かせないものになりますが。
どの集客方法にもメリットはあるので、色々と試していきたいところです。
他にも店前の看板の準備です。
看板はポスターにするのか、ブラックボードでいくのか。
アイアンで作成してもらうのか。
なども他の美容室などを参考にしながら考えておきましょう。
お店のロゴなども合わせて早めのうちから考えておくといいと思います。
開業の流れのまとめ
以上が開業に必要な準備でした。
私の場合は物件を見つけてから、オープンするまでに4か月の期間がかかってしまっていました。
融資で躓いてしまったので、大きく予定が変わってしまいました。
順調な方であれば2ヶ月~3ヶ月あれば開業できる期間だと思います。
ここまで、大項目で紹介してしまいましたが細かい準備はもっとたくさんありました。
開業をすることの大変さは実際にやってみてからの方が大きく感じると思います。
ですが、独立を目指す方は大きな夢をもって進んでいる方だと思いますので準備をすることも楽しむことができるはずです。
開業までに大変な準備はあるかもしれませんが、頑張って進めていってください。
また、独立を悩んでいる方は是非ともチャレンジをしてみてほしいです。
私は前職で安定した生活を手に入れることが出来ていたと思っています。
ですが、それよりも自分の生き方が選択できる道を選びました。
それがまさに独立です。
努めていた時には、休みがとにかく一日でも多くあってほしいと思っていたのですが。
休みが無くても働けてしまえています。
選択できる自由があるから、仕事も前よりも楽しく感じることが出来ています。
この気持ちを目標をもって人生を歩んでいる美容師さんに感じてもらえたらいいなと思っています。
美容師ライフを一緒に楽しんでいきましょう。
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